消えかけた「ともしび」から未来をてらす「かがり火」へ

商店街再生の歩み

2000年代初頭、阿蘇門前町商店街は大型ショッピングモールの台頭、少子高齢化、過疎化により、観光客も地元住民も立ち寄らない状況に陥りました。しかし、世代交代のタイミングで跡を継いだ若手経営者たちと先代が協力し、商店街再生に取り組みました。

まず行ったのは、阿蘇神社を訪れる方々が楽しめる環境作りです。桜の植樹を行い、春には満開の桜が観光客を呼び込むきっかけとなりました。また、商店街内の「水基(みずき)」を活用し、「水基巡りの旅」という周遊コースを整備しました。

各商店では「30分とどまって楽しんでもらう」工夫として商品開発を行い、これによって誕生した商品は現在もロングセラーとして商店街を代表するおもてなし商品となっています。

2000年代初頭、寂れた商店街
先代と2,3代目若手経営者たちが協力
やがて立派な桜並木に
昔からある水基を観光資源として活用

地域文化と伝統の活用

阿蘇門前町商店街は阿蘇神社と密接な関係があります。

  • お正月: 参拝客で賑わい、多くの観光客が商店街を訪れます。
  • 火振り祭り(3月): 阿蘇神社参道から商店街に続く路上で、火のついた茅束を回す神事が行われます。
  • 御田祭り(7月): 神輿が商店街を通過し、地元住民と観光客が一体となるイベントです。

これらの祭りでは、担ぎ手や歌の継承、観光客のおもてなしなど、商店街全体が協力して地域文化を支えています。

お正月の参拝客で賑わう商店街
火がついた茅束を振り回す神事「火振り祭り」
農耕神事「御田祭り」

観光客に愛される商店街をめざして

商店街では、観光客が楽しめるユニークなイベントを多数開催しています。

  • お座敷商店街(春): 桜並木に畳を敷き、阿蘇のお酒や食事を楽しめるイベント。
  • 宮ガーデン(夏): 神社そばでのビヤガーデンイベント。
  • 車イベント: クラシックカーや痛車の展示、商店街を撮影スポットとして活用。
  • ツールド九州: パブリックビュースポットの提供と来場者のおもてなし。

毎年、多くの人々に楽しんでいただいています。

お座敷商店街
宮ガーデン
珍しい車の展示イベント(チェントミリアかみつえ)

商店街を支えるコミュニティ活動

新たな取り組みとして、地域のための活動にも力を入れています。

阿蘇熊本地震で甚大な被害を受けた阿蘇神社楼門の完全復旧を機に、「阿蘇ちょうちん祭」を企画しました。この祭りは、被災直後の不安に思いを馳せ、鎮魂と祈りを込めたイベントとして始まりました。現在では地域の未来を照らす希望の象徴として、多くの人々が訪れる恒例行事をめざしています。

🏮阿蘇ちょうちん祭Webサイトにて協賛募集中です。

阿蘇神社楼門復旧を記念して開始した、阿蘇ちょうちん祭
シンボルの大提灯と提灯櫓
2023年12月第一回ちょうちん祭最終日
1000個の協賛提灯に託された想いが阿蘇の夜空をてらす
鎮魂と復興の祭りからいずれは希望と創造の祭りをめざして

デジタル化の取り組み

商店街のデジタル化はまだ道半ばですが、今後は以下のような取り組みを進めていきます。

  • WebサイトとSNSを活用した情報発信の強化。
  • インバウンド観光客向けの多言語情報の提供。

地域課題への挑戦

商店街のメイン通りである仲町は活性化していますが、周辺の横町や栄通り、旧女学校跡地など、まだ開発途上のエリアが多くあります。
これらのエリアを自分たちの手で盛り上げるため、かつて商店街を復活させたような創意工夫と連携をさらに広げたいと考えています。

未来への展望と挑戦

阿蘇門前町商店街振興協会は、令和7年4月より「四季彩いちのみや」の指定管理者となります。この直売所では、阿蘇の農作物や畜産物・加工品を販売し、農業と商業を連携させることで地域活性化を目指します。
いちどは消えかけた商店街の灯火をさらに大きくし、人々の心に希望を届けるかがり火として、今後も努力を続けていきます。

四季彩いちのみやプレゼン資料より、決意表明PV「ともしび」